◎ 取締役の責任は?



「会社に対する責任」 と 「第三者に対する責任」 があります



◆ 「過失責任」 と 「無過失責任」 とは?



● 会社法では、従来 無過失責任とされてきた利益相反取引等に係る責任を過失責任とし、
一定の範囲の取締役 (取締役会の決議に賛成した取締役を含む) については、
無過失の立証責任が課されることとなりました


無過失責任
  • 損害の発生について故意 ・過失がなくてもその賠償責任を負うこと
      をいいます
  •  
    過失責任
  • 過失ある者は、責任を負うという 「過失責任の原則」 で、
      「過失」 とは、一定の事実を認識することができたにもかかわらず、
      不注意で認識することができなかったことをいいます
  • 過失には、不注意の程度により、重過失 と 軽過失があります
    重過失 著しい不注意 ・・・・ 「重大な過失」 といいます
    軽過失 多少でも注意を欠くこと




    ◆ 会社に対する損害賠償責任 ⇒ 「過失責任」 が一般原則に!!


    任務を怠ったときは、会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う
    任務懈怠責任 (423条)
    原告 (会 社) 法令定款違反に相当し、過失を主張 ・立証
    被告 (取締役) 相当の注意をしたこと、無過失を主張 ・立証

    責任の限度額 (425条@)
    代表取締役   報酬等の6年分
    取締役   報酬等の4年分
    社外取締役   報酬等の2年分
    取締役を複数設置し、かつ、業務監査権限を有する監査役を設置している場合は、定款の定めに基づき、その取締役以外の取締役の過半数の同意をもって、取締役等の責任の一部
    を免除することができます (426条)



    ■ 次の3つについては、無過失責任

    (1)募集設立の場合で
    現物出資等をした
    発起人等
     募集設立において、発起人等から現物出資 ・譲渡により
     提供された財産の価格が不足した場合
    の価格補填責任
    (103条@)
    (2)特定の株主に利益
    供与
    をした取締役
     株主の権利行使に関する利益供与により、供与した利益
     の額について会社に支払義務を負う場合、その利益供与
     をした取締役
    の負担責任 (120条C)
    (3)競業及び利益相反
    取引
    をした取締役
     競業 及び 利益相反取引で、取締役が自己の為に直接
     取引をした場合
    の損害賠償責任 (428条@)




    ◆ 第三者に対する損害賠償責任 ⇒ 「悪意 又は 重大な過失責任」


  • 第三者に対する責任は、悪意 (知っていた) 又は 重過失があったときの責任です

    職務を行うについて悪意 又は 重大な過失があったときは、第三者に生じた
    損害を賠償する責任を負う
    悪意 ・重過失責任 (429条@)
    原告 (第三者) 取締役の悪意 又は 重過失の存在、損害の発生、任務懈怠
     と 損害との相当な因果関係を立証
    被告 (取締役) 虚偽の登記、虚偽の公告、重要事項について計算書類等に
     虚偽の記載
    がされたときは、注意を怠らなかったことを証明




    ≪役員とは?に戻る≫

    ≪取締役会設置会社 と 非設置会社に戻る≫

    ≪特例有限会社 と 取締役会非設置会社に戻る≫

    ≪法人設立の手続きに戻る≫  ≪会計参与に戻る≫  ≪会社法のポイントに戻る≫



    会社法では、取締役の責任は、一部の例外を除き <過失責任> となりましたが、
    責任を逃れるには職務懈怠がなかった、善管注意義務を尽くしたとの立証責任が伴います。




    mail: hy1950@manekineko.ne.jp
    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
    http: //www.manekineko.ne.jp/hy1950/